
ケンタウルスは、上半身が人、下半身が馬のケンタウロス族として、ギリシャ神話などに、賢者ケイロン(射手座)をはじめとしてたびたび登場します。ケンタウロス族はギリシャのテッサリア地方の山地に住むとされており、狩猟が上手く誇りの高い種族だといわれています。ケンタウルス座はプトレマイオスの48星座の一つでもある古い星座ですが,ホメロスの時代は人間の姿とされており,前500年頃の抒情詩人ピンダルによって初めて半人半馬として描かれたようです。ケンタウルス族の住処とされるテッサリアの人々が乗馬に長けていたことから馬人伝説が生まれたと言われますが,ケンタウルス族の起源にはいくつかの説が知られています。テッサリアを統べる王にイクシオンという人がいました。彼はオイカリアの王デイオネウスの娘、王女ディーアと結婚するはずでしたが、式をすませて引き出物を渡すときになるとイクシオンはデイオネウスを焚火の中に落として焼き殺すという事件を引き起こしました。義父を殺した罪は重く誰もイクシオンと親しく付き合おうとも、またイクシオンの罪を浄めてやろうともしませんでした。その様子を見て大神ゼウスはイクシオンを哀れに思い、彼の罪を浄めてやりました。ところがイクシオンはここでもまた神をも恐れぬ暴挙に出たのです。イクシオンは女神ヘラに分をわきまえぬ恋をし、しかもヘラの寵愛が自分の上にあると人々にふれ回りました。それを聞いたゼウスとヘラは怒り、雲で作ったヘラの幻をイクシオンに与えました。イクシオンは幻とも知らず雲と交わり、この雲が宿して生まれた子が上半身が人間で下半身が馬というケンタウロスなのです。ケンタウロスは父であるイクシオンの性を受け継いで、野蛮にして粗暴、神を敬うことを知らない一族となったのです。しかし、一方、上半身が人間、下半身が馬というその姿は、ギリシァ人が馬にまたがって走ることを知らなかった頃、北方の騎馬民族が進入してきて恐怖の的となっていました。騎兵を人間と馬に分けず、まさに人馬一体の動物を創造したのも当然でしょう。こうしてギリシア人は、北にあるテッサリアの住民をケンタウロス族と呼んでたいへん恐れていました。そのケンタウロスにちなんで命名されたのがケンタウルス座と言うのが発祥の原点なのでしょう。その後、イクシオンは冥府の底タルタロスに落とされ、激しくもえさかる火の車に縛りつけられて責め苦を受けたといいます。この星座になったのは一族の中のフォーローという者だという説が一般的なようです。彼は英雄ヘラクレスとエリュマントスの怪猪退治の際に仲良くなったのですが、ヘラクレスの放った矢が一族の者に当たり、それを抜いた時に矢先の毒に触れて死んでしまいました。
キリシャ神話より
