CCDエンサイクロペディア
                                                          

 用語
解説
アンシャープマスク処理 頭文字をとって、USMと略されることも多い。
天体画像では画像強調処理として、一般的なSharpenよりもアンシャープマスク処理が使われる。

アンシャープマスクの主な目的と効用としては、エッジ強調処理や微細構造の抽出にある。
アンシャープマスク処理は、マニュアル的にも実行が可能で、
オリジナル画像をnとし、まずはこれをぼかした画像mを作成する。
この際、強調したい模様がぼけるようにする。
その後、オリジナル画像nを演算で2倍にし、マスク画像mを減算することで、
アンシャープマスク処理が行われる。
なお、3n-2m,5n-4mとオリジナル画像・マスク画像とも画像演算で係数を大きくすることで、より大きな強調効果を得ることができる。
現実的には、ソフトウェアに実装されたフィルター機能で、半径・しきい値・強度等のパラメータを設定することでボタン一つで実行される。各ソフトウェア(のアルゴリズム)によって効果が異なる。

ぼかしマスク作成にガウスぼかしを使用すると、実際のシンチレーションによるぼけ具合とマッチし、より良い結果が得ることができ、天体画像にはガウシアン・アンシャープマスクが適していると言われている。
この機能を持つソフトウェアはなかなかないが、上記マニュアル手法で行うのならば、ステライメージ4ではマスク画像をガウスぼかしで作成することにより、実行可能で、手間はかかるが、手順を踏んで行う方法も捨てたものではない。

階調圧縮効果があるため、惑星画像に適用するとこれまで見えなかった模様が浮かび上がってくることもある。
反面、上画像をみれば判るように、階調圧縮で平べったい印象のイメージにもなってしまう。
画像の切れ味を向上させるために適用することも多いが、あまりに強くかけると、上画像のように、惑星像に明瞭な疑似輪郭を発生したり、恒星像のまわりに黒縁を生じることがあるため、使用には慎重なパラメータ設定を要する。
なお、PSFを用いて画像のシャープネスを回復させるため、広義では画像復元処理のひとつといわれている。

写真が登場してからの常用処理技術で印刷・製版の世界では当たり前のように行われている。
また、ハイアマチュアによって、純銀塩写真的に処理が行われることもあり、手間と試行錯誤は要求されるものの、その成果は大きく、ノイズが強調されるデジタルのUSM処理とはまた異なった結果を得ることができる。
アンチブルーミングゲート
(ABG)
一般にCCDは明るい光が入り、電荷があふれると見苦しいたて筋が生じる。
それを防止するのが、アンチブルーミングゲート機能である。
Kodak社のFFT型CCDの場合、ABG機能付きのCCDでは、ABGなしCCDに比べると感度的には相当に劣ってしまう。(開口率は70%になり、量子効率が非常に落ち、実質、感度が約半分まで落ちるようだ)
他社製CCDであっても、若干の感度低下があるのが普通。

2008年現在、Kodak社のCCDであっても、新型のKAF16803EやKAF8300Eでは、ABG付きフレームトランスファタイプCCDながら、量子効率も50%ないし60%を実現し、かつての様に量子効率が半減しなくなっている。
どちらのCCDチップもHα線への感度も高く、非常に天体写真向けのCCD素子である。

TI社製CCDでは電気的にON/OFFの切り替えが可能で、天文用に向いているのだが、
ST6以降、撮像をメインとするカメラではST5C,ST237Aなど、CCDサイズが小さい機種のみの採用にとどまっている。
また、SONY製をはじめとするインターライン型CCDでは、ABG機能があらかじめ付随しているのが普通である。

ABG付きではCCDの特徴である直線性(リニアリティ)が失われるため、測光などの観測用途に向かなくなってしまう。
しかし、鑑賞用としては、明るい星にブルーミングが生じることがなく、非常に有効である。

ただし、このABG。周期的に動作させて電荷を放出させているため、その周期的な動作が画像に縞模様(通称、横縞くん)を作ってしまうことがあることがST8E(ABG)などで報告されている。

ブルーミング
EM-CCD Electoric Multiplyerd CCDの略。
オンチップ増倍機能を持つCCDチップ。

アンプで読み出す前に増倍を行うことによって、読み出しノイズより信号を強くすることにより、高感度化を図ることができる。
逆にいえば、長時間露光を行う場合、暗電流ノイズも像倍するわけで、極微弱光の被写体で高S/Nの静止画を得たい場合には、高冷却を必要とする。
従って、観賞用の天体撮影用途ではビデオの様な動画としての利用が妥当であると思われる。
また、像倍機能を上手く利用することで、幅広いダイナミックレンジを得ることができる。
そのため、例えばコロナの様な被写体を撮影する用途に使えるかもしれない。

天文ガイド2006年10月号に、EM-CCDを使った天体ビデオの記事があるが、実のところ、天体ビデオ用途としては、2001年頃より、CANの岡本氏、笠原氏がすでに撮影を行っており、今更な感がある。

TI社では、インパクトロンの名称を与えているが、EM-CCDの名称で普及しており、インパクトロンCCDの名称自体はあまり聞かない。
EM-CCDの素子としては、E2Vも開発を行い、より高感度の背面照射型のCCD素子を提供しており、天文台でも使われている。

天体撮影用カメラとしては、NEC-R550aがある。
http://www.emccd.net/gallery/index.html
CCD素子は恐らくTI製TC247SPD。
量子効率も悪くなく、3CCDカメラであり、天体用CCDカメラとしては最高だろう。
ただ、個人ではとても手が出る価格ではなく、また、感度ももう少し欲しい。
しかし、現状、NHKの様な映像を得ることができる唯一のカメラだろう。
F値が明るいレンズが使える流星撮影では、リアルタイムで美しい動画が得られることだろう。
ISO感度 ISO感度(いそかんど)とは、ISO(国際標準化機構)で厳密に定められた測定方法に従って、得られた数値を表す。
デジタルカメラに於いては、回路設計によってこのISO感度を変更できるのだが、電気的に信号を増幅して高感度にするため、高感度設定にするほどノイズも増え、階調も劣化してくるのが普通である。
一般写真では、この点を高感度フィルムになぞらえ、高感度設定にすると早いシャッタスピードで適正露光が得られる反面、粒状性が悪化すると解説される。
しかし、ノイズが増えるということは、観賞用天体写真で求めているS/Nのうち、N(ノイズ)を損なうわけで、
実質的に、ISO1600に設定したからといって、露出時間が短くて済むわけではないことを理解する必要がある。
ISO400での8分露光とISO1600設定での2分露光とでは前者の画質が圧倒的に上なのである。
輝度値はみかけ上、ほぼ近い値にはなっているが・・・。でもね。
ISO400で8分露光とISO1600で8分露光、つまり同じ露出時間をかけた状態では、星雲の描写はほとんど変わらない。
つまり、ISO感度設定はあまり意味をなさない、ともいえる。
しかし、デジタルカメラでは、カメラ内部で高度な信号処理・画像処理が行われているため、ある程度感度を高めに設定する必要性は感じてはいる。
そうはいっても、最高感度設定が必ずしも良い結果をもたらすわけでもない。
知人のテスト結果ではEOS10DではISO800が、自分のテスト結果ではFinePixS2ProではISO400が最も良いと感じた。
ただ、S2PROでも画像処理次第によっては、ISO1600設定でも良いのかもしれない・・ちょっと最近迷っているところだったりする。
ISO800/1600設定では微光星は確かに鈍って解像力が劣化するのだが・・どのみちノイズを取るのにスムーシングをかけるなら、あえてISO400にしても意味ないし・・ブツブツ
いずれにしても、一眼レフデジカメでも天体写真の画質を決定ずけるのはISO設定ではなく、露光時間であることは間違いない。
Eチップ
コダックが販売しているBluePlusCCD、ITOセンサのこと。
型番の末尾にEの文字が入ることからEチップの俗称がある。
<例>
(旧チップ)KAF1300⇒KAF1301E

通常のCCDに比べ、ピーク量子効率が40%→65%と大幅に高くなり、またとりわけ短波長側での感度向上が著しい。
最近ではさらに感度をあげ、フロント照射CCDながら、ピーク量子効率を85%にまで高めた,マイクロレンズ付きのMEチップも販売されている。
また、高感度ながらABG機能を備えた素子も提供し始めており、天体写真撮影に非常に有効なCCD素子となっている。


CCD
フルフレームトランスファCCD
イメージインテンシファイア
(I.I)
アイアイと呼ばれる。正式名称はイメージインテンシファイア。
古く(1980年頃)より、次世代天体撮影装置の本命と目されてきながらも、その座を冷却CCDカメラに譲ってしまった感がある。
感度としては冷却CCDカメラよりも圧倒的に高い。
圧倒的に短時間で暗い星々を捉える。
しかし、反面、空間分解能が悪く、ノイズが多い。
そのため、静止画よりもビデオカメラと組み合わせて動画撮影に使う方が良いようだ。
実際にアマチュア天文家では流星撮影に使われていることが多いようだ。
良質なI.Iとの組み合わせでは9等級程度の星雲まで映し出せるらしい。
ただ、CCDのような固体撮像素子と違い、同じものを長時間写すと焼き付きが起こったり、急に明るいものを写すと、I.I自体を痛めることもあり、使用に当たっては細心の注意が必要。
また、感度劣化もあり、アマチュアが個人で使うには躊躇せざるを得ない。
特に、電源を入れていないからと言って、明かりにさらすのは厳禁。
これが一番良くないらしく、保管には暗所で行う方が無難だそうだ。
取り扱いは非常にやっかいだが、とはいえ、暗い天体を動画で写すには非常に威力を発揮する機器である。
なお、火は出ない(笑)。
色ガラスフィルタ 色素を使った吸収型のガラスフィルタのことを色ガラスと呼ぶ。
特徴としてはゆるやかなバンド特性を持つバンドバスフィルタや、一般的なカメラ用品店で手に入るシャープカットフィルタにはこれが使われている。
ケンコーの三色分解セットやR64などがこれに当たる。

干渉フィルタ
インターライン型CCD IT型CCD、もしくは、IL型CCDと略される。
主に、デジカメに使われているが、冷却CCDカメラ用としても比較的安価なエントリーモデル〜中堅モデルに使用されている。
開口率が25%程度と低いため感度がFFT型CCDに比べずっと劣り、天文用には向かないCCDとされてきたが、CCD前面にマイクロレンズが配され、開口率をアップさせ量子効率を向上させている。
また、低ノイズ化に力が入れられているために、実質感度はFFT型と同等程度まで高められている。
短波長側の感度が高いのが特徴で、逆に赤外感度は低いものが多い。
しかし、ExViewHAD CCDでは空乏層を深くとり、より深いところまで届く長波長側の光も光電変換する工夫がなされている。
そのため、Hα線への感度も大変高く、ABG付きCCDながらNABGのKAF1602Eと遜色がないほどの感度を持つ。
ExViewHAD CCDは、BJ-41Lが採用している他、ビデオカメラだがMoswellのMS-560A蓄積型カラービデオカメラが採用し天文アマチュアに使われている。

CCD
フルフレームトランスファCCD
Webカメラ 比較的安価(数千円〜1万円程度)に販売されている、主にUSBで接続し、一般的にはビデオメールやTV電話として使用するためのカメラ。
VGAサイズ(640×480ドット)で30fps(1秒間に30コマの画像で動画を構成する。)、いわゆるDVD画質での取り込みが可能であり(機種によっては、320×240ドットのQVGA)、多数の画像を短時間で得られるため、惑星撮影に威力を発揮する。
CMOSを使用した製品が多いが、天体用としては画質面から、CCDを使用したものに分がある。
2003年の火星の大接近では、Philips社のToUcamProが非常に活躍した。

また、2005年頃から、Webカメラをオートガイダーとして、使用する方が増えてきた。
安価で高性能なガイドカメラとしての利用もできるなど、用途の幅も広がっている。
Hαフィルター
Hαフィルター。その名前の通り、Hα線のみを透過するフィルター。
散光星雲が放つHα線は大変強度が強いこともあって、Hαフィルターを使用すると、光害あふれる大都市であっても、あたかも暗い夜空で撮像したかのような美しい天体画像が得られる。
また同様に月光の影響も受けにくく、満月であっても充分な撮像が可能。
右のM76は満月下で撮像したもの。R200SSにて露出は5分×2枚。
その他、通常では写らない星雲の非常に淡い部分を捉えることができる、豊かな階調を持つ滑らかでかつ、鋭いイメージが得られるなど、メリットは多い。
また、色収差の影響は一切なくなるため、アクロマートレンズや色収差が多い昔の望遠レンズであっても、実用できる。

色収差・光害・月光の影響を受けないまさに魔法のフィルター。
フィルターの威力を最も顕著に感じとることができる。
S/N比 シグナル・ノイズ比の略。
ある光の量に対する信号出力の大きさとノイズの比を表した数値で、通常、デシベル表示され、カメラの性能を表す指標として用いられます。
天文屋としてはそこまで知っておく必要はないと思いますが、実際のカメラの画質の優劣はこのS/N比で決まってきます。
一般的に感度が高いCCDほど、S/Nも良好といわれています。

A/D変換
CCDから出力されてきたアナログ信号を、デジタル画像へと変換するのがA/D変換器(A/Dコンバータ)である。
8bitであれば、完全に黒から白を0〜255の階調で表現し、16bitであれば、0〜65535の階調で表現する。
当然、分解能が高い(Bit数が多い)に越したことがないが、CCD自体に蓄えられる電荷量から表現できる階調というものが決まっているため、あまりに必要以上に高分解しても意味はなさない。
現行の天文用冷却CCDカメラでは16bitA/D変換器をあてがっているものが多いが、実際にそれをフルに活かせるのはピクセルが大きいわずかな機種だけと思われる。
一方、デジカメでは流行の一眼レフデジタルカメラでは12bitA/D変換器が使われている。

いずれにしても、天体写真の場合、とりわけ冷却CCDカメラで得られた画像の場合は、A/D変換されたままのデータが画像として出力されてくるため、各自で適宜、適切な画像処理を行って、
16bitのデータからうまく8bitに情報を抑え込むことが腕の見せ所となる。
そのため、同じデータからでも処理の仕方いかんで、大きく画像の見栄えが変わる(だから面白い)
一眼レフデジタルカメラの場合は、カメラ内や現像ソフトで画像処理が施され、ある程度、完成された画像として、渡される。
そのため、大きく画像を変更する処理はしづらい。

某天文雑誌にスキャナの話でプロ仕様の8bit機と民生用16bit機を比較して、A/D変換に意味がないようなことが記載されていたことがあるが、それは違う。
プロ用の8bit機には、動的8bitA/D変換器が使われており、8bitといえども、適切なレベルを判断して8bitでのA/D変換をおこなってくれるからだ。
むろん、素人の我々が16bit画像をいぢるよりも質の良い画像があがってくる。アルゴリズムにもよるが、いってみれば、プロの目で適切な画像を出力してくれるのだから。
適切に画像出力され、大きな画像変更を必要としないのであれば、8bitで事が足りるということで、
高分解能のA/D変換に意味がないというわけではないことに注意。

ただし、ディスプレイはもとより、人間の目も16bitの階調すべてを認識できるわけではない。
ディスプレイは、一般的に、256階調8bitでしか表現できないし、人間の目で認識できるのは200階調程度といわれている。
先にも述べたが、16bitの豊富な画像情報から、いかに人間の目に美しく認識できるように、200階調に抑えるか・・それがハイビット画像での画像処理の実体なのだ。
そのための強力な処方として、デジタル現像処理がある。
SBIG サンタ・バーバラ・インスツルメンツ・グループ。
エスビーアイジーというが、なぜか?エスビッグとも呼ばれる。
いわずと知れたアマチュア向け天文用冷却CCDカメラの1メーカだが、
最も早期に、アマチュアに冷却CCDカメラを提供したメーカであり、
その功績は大きい。
初のアマチュア向け冷却CCDカメラ兼オートガイダーST−4を始め、セルフガイドを採用したST7、アマチュア向けとしてはほぼ唯一のシーイングキャンセラーAO−7など、意欲的な製品が多い。
また、制御ソフトウェアCCDOPSには実に豊富な機能が実装されている。
反面、ハードウェア面では一抹の不安を感じさせられる面も多々あり、同じCCDチップを使用した他社製品と比較すると、ノイズが多いと昔から言われている(私もそう思う)。

メーカのホームページはこちら
http://www.sbig.com
LRGB4元カラー合成処理 岡野邦彦氏が開発・提案したカラー画像構成法。
人の目は色の変化には鈍感という特性を利用し、R,G,Bの色信号はビニングして撮影し、別に撮影した高解像度の輝度信号に割り当てることによって高解像度のカラー画像を手際良く得るという手法。
高解像度・高品質カラー画像を得るために必要な時間が短くなっただけではなく、モノクロCCD画像にカラーフィルムの色を割り当てたり、カラー画像を撮影する時はレデューサーを入れたり、別の明るい光学系で撮影したり等、さまざまな応用が利くようになった。
CCD撮影における自由度を非常に広げた画期的な手法。
オートガイダー 地球の日周運動をモーターで追いかけていくことを自動追尾という。
赤道儀式天体望遠鏡の場合、極軸を合わせればあとはモーターが自動的に星を追っていってくれるのだが、しかし、それだけでは精度が足りず、どうしても、1点に星を止めておくことができない。
修正をしてやる必要がある。かつては主望遠鏡と並べたガイド望遠鏡に高倍率をかけて、目視で修正を行っていたが、人の目の変わりに、機械が赤道儀の追尾誤差を自動的に修正してくれる画期的な装置がオートガイダーである。
現在の高品質な天体写真が得られるようになったのは、フィルムをはじめとする感材/イメージセンサの性能向上もさることながら、オートガイダの登場によるところも大きい。

CCDとは直接関係はありませんが、センサにはCCDを使うのが一般的。
その草分け的存在が、SBIG社のST4というわけです。
最初期のものはフォトダイオードをつかったものもあった。

昨今では、冷却CCDカメラを使ったものはもとより、安価なWebカメラを転用して実用している方も増えている。
感度が得られにくいため、冷却CCDカメラによるガイダーに比べ、極限等級が低いという難点はあるものの、
なんといっても、冷却CCDカメラを使用しているものが10万〜30万円もするのに対して、Webカメラは数千円である。
コストパフォーマンスが高く、また充分に実用になる性能がある。

その他、CCDビデオカメラを使用してガイドさせる製品も昔(1990年前半)からある(Vixen AGA-1など)
回折現象 CCDの画素サイズが細かくなればなるほど、高い分解能を得ることができるが、1画素当たりに入る光量が低下し、感度が低下してくる。
しかし、感度低下は露出を延長することで、対応できるのだが、写真レンズに比べF値の暗い天体望遠鏡で最も深刻なのは光の回折現象を受け、高精細画素に見合っただけの分解能を得ることができないことだろう。
左の写真は厳密に撮影したものではないので、参考程度にしかならないが、MicroNikorr55mmF2.8を画素サイズ6.8μのCCDカメラに付け撮影したものである。
なお、F5.6→F32→F11の順番で撮影しているので、ピントがぼけたんじゃん、ってことはない。
少々判りにくいかもしれないが、レタッチソフトで拡大して見て貰えば、F11の画像でも光の回折の影響を受け、小さい文字の分解能が低下しているのが判ると思う。F32までしぼると絶望的なまでに文字がぼやけている。
一般的なデジカメでも300万画素機以降、F2〜F2.8のなるべく明るいレンズを持ち、中には、絞りがF8やF11までしかない機種があった理由も、まさにこの回折現象の影響を受けないようにするためで、F値が暗ければ像がどう頑張ってもボケてしまうためで、画素数に見合うだけの解像力を持った映像が得られない。それを回避させるためなのである。

天文用冷却CCDカメラでは最も高精細のものでも6.25μm(2003年12月現在)なので、そう極端なものはないが、回折現象と深く関係があるエアリーディスクを考慮すると、6ミクロンクラスとなると本来の実力を発揮させるためには、実のところF4以下の明るい光学系が必要になってくる。
エアリーディスクも波長によって変わってくるため、正確を期するならば、理科年表や天文年鑑に載っている計算式より求めることができる。
もっとも、実際的には、画像復元処理やアンシャープマスク処理などを行うこともあって、多少ぼやけている程度であれば、余り問題がない。PSFを用いた画像処理で多少の画像改善が期待できるからである。
とはいえ、焦点距離を伸ばして迫力ある映像を得ることに固執するあまり、非常に暗いF値で撮影しても、露出時間ばかり延びるばかりで、像はぼけて、苦労に見合う解像力は得られないということは覚えておく必要がある。

ひとつの目安として、CCDの画素サイズ=限界F値 と考えると良いそうだ。
つまり、ST7Eの9ミクロンCCDでは、F9が限界、それ以上暗くしてもぼけるだけというわけ。
おおざっぱだが、一応の目安にはなる。
ビットランのBJ-41Lなら、F6.4を目処に考えればいい。
画素 ピクセルとも呼ばれる。
デジタル画像を構成する最小単位が画素である。
画像をレタッチソフトのルーペなどで拡大していくと、モザイク画のように、四角いタイルが並べられているようにみえるが、その1ヶのタイルが画素で、画像は画素の集合体であることがよく判る。

なお、画像にもよるが、通常のカラー写真の画像では、この1画素がR,G,Bの3色の情報を持っており、それぞれの色は8bitの情報を持っている。(フルカラー画像の場合)
冷却CCDカメラの画像データの場合、1画素に16bitの情報を持たせており、その中のうちの8bitを適切に取り出すことで美しくノイズレスな天体画像が出来上がる。


画像復元処理




天体像は地上で見る限り大気によってゆらぎ、像がぼやけてしまう。
それをコンピュータによる演算によって積極的に補正を行うのが画像復元処理である。
画像復元処理はいくつか方法があるが、天体画像処理ソフトに実装されているものとしては、
・ウィナーフィルター
・最大エントロピー法
・ルーシー・リチャードソン法
とがあり、各処理法だけではなく、各ソフトウェアによっても効果が多少異なるようだ。
いずれにしても、適切に適用できた場合、その効果は絶大で、一番上のM16の画像では、微光星のシャープネスがあがり、星雲の構造(とりわけハイライト部)の改善が著しい。
ウィナーフィルターは線形フィルターであり、他の手法に比べ比較的単純な手法ではあるが、月面画像に特に効果が大きいフィルターで、パラメータによっては星雲画像にも復元効果をもたらすことができる。上記M27の画像がそれであるが、微細構造が強調される傾向にあるのがよくわかると思う。
一番下の土星画像は冷却CCDカメラCV-04Lで得られたもので、左画像がコンポジットのみのもので、それにルーシーリチャードソン法を適用したのが、真ん中と右である。
右は明らかに疑似輪郭が現れてしまっているが、ほぼ適切なパラメータで処理された真ん中の画像からはその非常に高い効果を伺うことができる。
いずれにしても、適切なパラメータを得ることができれば、非常に大きな効果を得られるのがこの処理の特徴であるが、良い結果を得るには何回かの試行錯誤を要求される。
しかし、ハマれば凄い映像になるだけに、苦労のしがいもある・・・かもしれない・・・。
なお、オリジナルの画像が良質のものであるほど復元効果も高いと言われる。
また、冷却CCDカメラによる画像に適用するのが最も効果が高いが、デジタルカメラの画像であっても、
充分なコンポジットを行い、ノイズ除去、および豊富な情報を得た画像であれば大きな効果を期待できる。
画像フォーマット 画像データを電子ファイルとして保管するための形式。
画像データの保存形式もかなり重要で、種類によっては、データを劣化させてしまうものも多くあり、注意を要する。


・Jpeg(*.JPG) 
インターネットやデジカメなどで一般的なフォーマット。
フルカラーが扱え、圧縮率も大きいため、よく使用される。
しかし、データを切り捨てて圧縮する方式をとるため、画像劣化してしまう欠点がある。
一度、このフォーマットで圧縮してしまった画像からは元のデータには戻すことができないため、別フォーマットで保存しておくことをお勧めする。
なお、この要に圧縮すると元に戻すことのできないことを『非可逆圧縮』という。
あくまでも最終画像をネット上にUpするときに使うフォーマットと捉えた方が良い。
具体的には、色彩があせる、階調が乏しくなるなどの劣化か生じ、圧縮率をあげていくと、ブロックノイズやモスキートノイズと呼ばれるノイズが不自然な階調として目に付くようになる。解像度も低下する。
なお、LosslessJPEGと呼ばれる劣化しない圧縮方法(可逆圧縮という)もJPEGに規定されているが、実際にこれを扱えるアプリケーションソフトはごく一部のものに限られてしまう。(デジカメ忍者で扱えるのには驚いた ^^;)
また、圧縮率も低い。
現在ではプログレッシブ式という形式もあり、圧縮率が若干上がる。また、インターネット上での使用を意識してまず荒い画像から表示していく仕様となっている。
しかし、画質面では従来からのスタンダード形式を選んだ方が良い・・・らしい。
高品質でJPEGで残したい場合は、憂慮すべきかも。

また、最近ではWavelet方式を用いたJPEG2000形式もある。非可逆圧縮ながら、見た目の劣化がほとんど感じられない利点があるが、これまでのJPEGと互換性がないためか余り普及が進んでいない。
モスキートノイズなどが出にくいものの、圧縮率上げると細かい部分がぼやけていく。Wavelet圧縮では劣化がなく圧縮できるサイズは約1/9程度までと大学の時の卒論発表で聞いた。無論、これは画像にも依る。
ブロックノイズなどが出にくい変わりに、画像の鮮鋭度が落ちていく感じだった。もともとがぼやけている星雲画像などには案外マッチしている方式かもしれない。
RegistaxのWavelet変換とはたぶん、別の物・・?

・GIF
これもまた、インターネットでよく使われるフォーマットである。
256色までの画像が扱え、圧縮率はJPEGほどではないものの、画像劣化の起こらない可逆圧縮であるため、まだまだ使用する価値はある。
ただし、あくまでも使用できるファイルは256色までのカラー画像であるため、フルカラーのデータを扱う場合には減色に伴う画像劣化が生じるため注意が必要。そのためか、GIFを非可逆圧縮としている書籍もあり、混乱の元になっている。
モノクロ画像をこの形式で保存する場合は、画像は一切劣化しない。
背景に黒が多い天体写真では元ファイルの1/3程度のサイズには圧縮されるようだ。
GIF87,GIF89Aなどの形式名が示すとおり、かなり昔から存在していたフォーマット。
最近はインターネット用にアニメーションGIFという形式も追加された。
彗星の移動アニメや惑星の自転アニメ(但しモノクロに限る)など、作成するには都合が良い。
なおフルカラーアニメーションを作成したい場合は、AVIやmpegなど動画ファイルで作成する。

・TIFF(*.TIF)
科学技術系の画像に昔から使われてきたファイルフォーマット。
TIFFには様々な形式があり、16BITのハイビット保存のオプションや、LZW形式の圧縮オプションもある。
ただし、16bit保存や圧縮保存は互換性がやや低く、使用できるアプリケーションはやや限られてしまう。
Photoshopでは両形式とも扱える。特に16bitTIFF保存はStella Imageでも保存できるため、両ソフトを使って画像処理を行う場合は、このファイルフォーマットが使いやすい。
なお、標準形式でも多少の解釈の違いによりソフトウェアによっては読み込めないこともある。
一眼レフデジタルカメラのデータを現像すると、たいていの場合は、16bitTIFF形式で保存することになる。


・FITS(*.FTSまたは*.FIT)
昔から天文用に使われてきたファイルフォーマットである。
TIFF同様、ファイル形式が柔軟なため、様々な形式のフォーマットがある。
また、そのため、互換性問題もあり、あるソフトで保存したFitsファイルが別のソフトで読み込めないということもある。
Stella Imageで扱う場合、Stella Imageが32bit実数でファイルを扱うため、32bit実数で保存するのがベスト。
64bitで保存するオプションもあるが、ソフトウェアが扱う以上で保存してもディスクスペースの無駄である。
かといって16bit整数保存では多少なりとも損失が生じる。
もっとも、大きくデータの損失が生じる場合は、Stella Imageから、ビット数を切り捨てるか、圧縮して保存するかの選択を聞いてくる。この場合は、キャンセルして32bitで保存した方が無難である。

・SBIG Type3(*.STx)
SBIG社の冷却CCDカメラで用いられているフォーマット。
16bitデータ保存してくれる形式。
圧縮形式と非圧縮形式があり、圧縮形式がデフォルトだ。
圧縮というとJPEGのイメージから画像劣化するのでは・・と倦厭する人も多いようだが、
この形式は画像劣化が一切ない可逆フォーマット。圧縮形式を使おう。
天体画像は、背景がほとんど黒になるため、ファイルサイズは約半分になる。
なお、この形式でないと使えない画像処理もある。(CCDSharpのLucyRechardson法やCCDSoftのRechardson-Lucy等)
非常に重要な画像フォーマットである。
他社製冷却CCDカメラ画像であっても、裏技やフリーソフトを使って変換することができたりもする。

・CCD−RAW(*.RAW) 汎用フォーマット

Phtoshopでは汎用フォーマットと呼ばれている。
デジカメでもよく、RAWファイルと言うが、最近のデジタルカメラのRAWファイルは、各メーカごとに独自の圧縮形式を用いているため、そのままではPhotoShopでは読み込めない。専用プラグインが必要になる。

読み込みには、Photoshopであれば、拡張子RAW形式で取り扱うことができる。
ただし、その際に、ヘッダのバイト数、画像の縦横の画素数の入力など取り扱いは面倒である。
なお、冷却CCDカメラで使われているフォーマットもCCD−RAW形式の一種で、たとえば、Mutohのbinファイルであれば、ヘッダ8バイトのCCD-RAW形式であるといえる。
なお、16bit整数Fitsも16bitTIFFであっても、ヘッダと画像サイズさえ入力すればPHTOSHOPの汎用フォーマット形式で読み込むことができる。

・BMP
Windows汎用のフォーマット。
ソフトウェア間での互換性が高いため、使いやすい。
画像処理後の画像を保管しておくにはこのファイル形式が適しているだろう。
圧縮形式や16bit形式も定義されているようだが、使えるソフトは実にまれなようだ。

・PSD
フォトショップの中間ファイル保存用のフォーマット。
フォトショップのみで画像処理を行うのであれば、この形式で保存するのが一番いいと思う。
ちょっと試してみたところ、16bitファイル保存もしてくれるようだ(非圧縮だが)。
なお、PSDファイルは他社の市販ソフト(例えばPaintShopPro)やフリーウェアなど、扱えるソフトウェアは増えているようで取り回しも悪くはない。

・フォトCD (*.PCD)
フォトCDの形式。BASE(768×512画素)を基準に上は6144×4096、下は96×64画素と複数のサイズの画像情報を持つ。
詳しくは知らない (^^;
読み込み専用の特殊フォーマット。最近は見ないかなあ。

・PNG
Portable Network Graphicsの略。インターネットでの使用を前提としたフォーマット。
圧縮フォーマットでフルカラーまで扱える。
昔の雑誌には圧縮後の復元能力が高いと書かれてる。
ファイルサイズからすると可逆フォーマットかもしれない?
次世代GIFと目されていたが、いまいちマイナー。

・PICT
Mac汎用の画像フォーマット。
えーと・・・昔、PaintShopProでは読み込めなかった。
Windowsでは扱いにくいかもしれない。えっ・・と、よく知らない(爆!)だってMac持ってないし。
拡張子*.picはX68Kでよく使われていたファイル形式にもあるようで、ファイル構造は違うものなのだが、紛らわしい・・。

以上、天体画像処理を行う上で使ったりインターネットでよく使うフォーマットをあげてみました。
実際に使うフォーマットは数種類に限られると思いますが、画像フォーマットは非常に多くあります。
以下はおまけ。今更使うことは絶対ないだろうけど。

・Mag
昔からのパソコンユーザーにはなじみのあるフォーマット(らしい)
国産のフォーマット(?)で、鮪(まぐろ)と呼ばれて親しまれていたみたいである。
Gifに近い性質を持つ可逆圧縮のフォーマット。
NECのPC−98シリーズの時代のフォーマット。
MS-DOSで表示できるソフトは多いが、海外からの流れを汲むWindows用ソフトではほとんど取り扱えない。
すでにとっくの昔に過去のものである。

・Q0
MS-DOS時代のフルカラー画像のフォーマット・・・のようだ。
いずれも僕がPC買った1994年末にはみかけたというか友人からもらった画像のファイルに使われてました。
エプソンのフラットヘッドスキャナ、GT-1000をMS-DOSから制御して保存するのにこのQ0形式が使われていたような・・。
いずれにしても過去のもの。
フリーウェアのGVでbmp形式に変換できる。

・MAKI
もっと古いMSXのファイルフォーマット・・・らしい。MSXだから256色まで扱えたのかなー
なお、どれもフリーウェアのGVで再生し、Windows標準のBMPに変換できます。

・FlashPix
5年位前に次世代画像フォーマットの本命と目されていたフォーマット。
フォトCDと同様に複数の画像サイズの情報を持っていて、PCの速度によって再生される画像の大きさが違うという、よけーなお世話的なフォーマット。どんなPCでも快適に再生できることを目指していたとか。
でも実際にこのファイルを再生させようとすると異様に重い。古いソフト使っているからかなあ。
ちょっと前のデジカメではこのフォーマットを採用しているものがあります。
画素サイズ 画素ピッチとも言われる。
画素の大きさのことだが、CCDではこれが重要で、画素サイズが大きいものほど、電荷をより多く蓄えられる。なじみのある言葉に置き換えれば、ラチチュード(ダイナミックレンジ)が広く、より大きな明暗差を表現できる。豊かな階調の画像を作れると同時に、観賞用画像では困りもののブルーミングも生じにくい。
また、画素の面積が大きい分、入射してくる光量も多いため、感度も高い。
超高感度でありながら、豊かな階調を持つという、いってみれば、天文屋にとって理想のフィルムのようなもんである。
ただし、1画素のサイズが大きい=1画素あたりの分解能は悪いわけで、短焦点には不向きで、20ミクロン以上の画素サイズの冷却CCDカメラでは星が画素の形(すなわち、■)になってしまうこともある。
画素数 画像をいくつのピクセルで構築しているかの情報が画素数である。
40万画素であれば、40万個のドットで画像を構成する。
デジカメを購入する上で最も気になるスペックのひとつ。
画素数が多いほど、きめの細かい画像を得ることができるが、反面CCDの大きさが同じまま、画素数が増えると1ピクセルのサイズが小さくなり、1画素にあたる光量が少なくなるため、感度低下を始めとする不都合が生じる。
特に天体望遠鏡はF値が写真レンズに比べ暗いため、光の回折現象によってせっかくの高精細画素による高分解能・高画素を期待できなくなってしまう。
画素サイズを保ったまま、画素数を増やすとCCD自体が大きくなり、
CCD自体の大きさが大きくなると、1枚のシリコンウェハから作れる個数が減少し、価格がとても高価になってしまう。

そのため、現行の民生用コンパクトデジカメでは1/1.8インチや1/2.7インチなどの小さなチップが使われることがほとんど。
当然画素サイズも小さくなる。

冷却CCDカメラもST8Eなどは1インチサイズの大きめなチップが使われているが、ST7EやBJ-40では1/2インチである。BJ-41は2/3インチ。
話題の一眼デジカメは、APS-Cサイズで、1.8インチの大きめな素子が使われている。そのため、画素数が多くても画素サイズが犠牲にならず、コンパクトデジカメよりも暗部にも明部にも強く非常に階調豊富な画像を作り出せる。

カラザノイズ よよしざわ氏命名。
NABGのCCDチップで突発的に生じるランダムノイズ。ホワイトスポットともいうらしい。
Eチップではその輝度値が200〜500カウント程度であり、Hαフィルターなど、極端に輝度が落ちるナローバンド撮影で問題になる。
MEチップではさらにこのノイズが頻出する傾向があり、輝度値も数百〜2000カウントとかなり高い輝度カウントを有するため、普通の天体撮影でも目立つこともあり、非常にやっかい。
コズミックレイ(宇宙線)に起因すると言われているが、旧KAF1600Lチップではこのようなノイズが生じることはない。ABG付きのEチップでも生じないようだ。

(2003.12.02追記)
CCDの面積が大きくなるほど、そして感度があがるほど、 このノイズが発生するとのこと。
原因は横側から侵入してきた宇宙線が、CCD面上で暴れるため、のたうちまくったように感光してしまうとのこと。
MEチップの感度の高さを表しているともいえる。
防ぐには、接眼部及びCCDカメラを厚い鉄で覆って宇宙線のCCDへの到達を防ぐしかないらしい。
(情報提供:こうちゃん fromマウナケアすばる) 天文台も苦労してるのね

上の画像で、一番左側の画像はM82だが、流星のようなキズと数画素にまたがる白い点がカラザノイズ。
真ん中のM33画像では、ダークフレーム側に生じたカラザノイズをダーク減算しているため、逆に黒く落ち込んでいる。
ここまでは、ST7E、KAF401Eによる画像である。
一番右側の画像はダークフレーム上に生じたカラザノイズで、これはKAF402MEによるもの。Eチップよりも面積・形状・明るさ、すべてにおいてさらにパワーアップしている(笑)のが判る。困ったものである。

■対策
このノイズの対策法はいくつかある。
まず、ダーク側のノイズであるが、これは比較的簡単に目処がたった。
メディアンコンポジットを行うことで対処できる。
具体的には、
3枚のダーク画像を用意し、
ステライメージにて、バッチーコンポジットでオプションを『中央値』として合成すれば良い。
これを4セット(つまり計12枚のダーク画像)ほど用意して加算平均し、高精度化するのが望ましい。

こうすることで、上画像のM33のように画像に穴が空く現象は回避することができる。




問題はライトフレームの方でこれの対策には、よしざわさんが考案した、
コンポジット時に基準点を選択した後、カラザノイズの周囲だけを選択ツールで囲み、
コンポジット−暗い方 で合成する。カラザを除去した後加算または加算平均をとる方法が最も有効である。
が、すべてのノイズを除去するのはかなりの手間であり、また気づかなかったノイズはそのまま残る。

もうひとつ、田中一幸氏が考案した方法で、
1.通常加算合成で、コンポジットを行う。
2.次にコンポジット-明るい方−で全ての画像を合成していく。こうすることでカラザまみれの画像ができあがる。
1の画像から2の画像を減算すれば、カラザノイズはすべて取り除かれる。
この方法は、コンポジット1枚分 S/Nを損ねるものの、処理の簡便さ、補正の完全さを考えると現状での補正処理の決定版かもしれない。

この他、Σ処理という手法でランダムノイズは除去が可能であるらしい。
なお、ダークで用いたメディアンコンポジットでも完全にカラザノイズを除去はできるが、
積算の効果が非常に薄れ、S/N向上が余り見込むことができない(通常の加算平均の1/3程度しか改善されないらしい)
ため、ライトフレームでの使用は躊躇せざるを得ないのだ。
カラーCCD 通常のCCDチップの前面にカラーフィルタを配し、画像処理によってワンショットフルカラー画像を実現したCCDカメラ。
もちろん、デジカメにはこのタイプのCCDが使われている。
CCDの4つの画素に、R,G,G,Bのフィルタが付いて、周囲の画素を参照にしてカラー画像を作り上げるために、CCDの持つ画素数分の解像度を期待することはできない。
緑色フィルタの画素数が表示画素数の1/2,青と赤は1/4しかないが、緑色を基準にして補完法によりフルカラー画像を構築するようだ。その際のアルゴリズムによって、解像力が決まってくるのだが、最悪でもGの個数である50%程度の解像力は有しているようだ。補完アルゴリズムによってはもっと向上しているものもあり、モノクロCCDの70%くらいというのが一般的な話のようだ。
補色カラーCCDの場合は基準となるG画像が演算で生み出されるということもあるが、C、M、Y、Gの4つのうち、3つもあるため、デジカメ雑誌などで補色CCDは解像感が高いというのは、ちゃんと理由があるようだ。
また、補色CCDの方が光量が多くとれる分、感度面でも有利である。
ただし、発色に関しては演算でRGBに変換せねばならないこと、CCD上の補色フィルタが必ずしも理想的なフィルタではないことなどにより、RGB原色カラーCCDに劣るとされている。
しかし、演算精度があがっている昨今のデジカメでは補色だからということを感じさせない。
国産の補色カラー冷却CCDがないのは残念に思う。
ただ、散光星雲など、天体撮影の場合、特定の輝線を発する被写体が多いため、発色の犠牲が大きい場合も多いのかもしれない。

なお、天体写真では恒星像の切れ味が悪くぽったりとしてしまいシャープ感を殺ぐという弊害が報告されている。
これはカラー冷却CCD、一眼レフデジカメでも同様の問題であるが、画素数が多ければ、プリント出力時はあまり気にはならなくなる。

CCD
3CCD
干渉フィルター 金属の薄膜を何十層もの重ねて、光の干渉を利用してある特定の波長の光のみを透過させるようにしたフィルタ。
不要な波長は反射して返すので見た目はまるで鏡のよう。
冷却CCDカメラ用の原色RGB干渉フィルタは、高い透過率と美しい色再現を実現し、カラー撮影の強い味方です。

その他、Hα-passフィルタや光害カットフィルタなども金属干渉フィルタで、我々天文屋にとっては様々なシーンで活躍してくれるなくてはならないものです。

色ガラスフィルタ
輝線 輝線とは、ある特定の波長でのみ輝く光のことで、散光星雲や惑星状星雲の美しい色彩は、さまざまな元素の輝線による発光である。
よく言われるHα線とは水素イオンの発光で、656.28nmで最も強く輝く。
反対に星や太陽、その集合体である系外銀河などは、あらゆる波長域の光を放っており、連続光と呼んでいる。
Cooled DSLR
一般的な一眼レフデジタルカメラを改造し、冷却機能を儲けた改造一眼レフデジタルカメラのこと。
2002年に発売されたFinePixS2Pro以来、一眼レフデジタルカメラの対天体写真適正が注目されてきた。
EOSKissデジタルでその流れは決定的なものとなったが、唯一、赤い散光星雲の写りが物足りない、という不満が残った。
それに対し、一眼レフデジカメに内蔵されている赤外カットフィルタを取り外す、ということで対応を図ってきたが、
もう一つの欠点、長時間露光時に発生するダークノイズにより画質が制限されるという問題に対して、冷却することで、対応するという改造をほどこすことで解決する業者がいよいよ出てきた。
センサの長時間露光時の対応という観点からの方向性としては極めて正しい方向であり、
ここまでの改造を施したカメラを量産ベースに載せた方々の技術と努力に敬意を払いたい。

現状、韓国のりーさん、日本の瀬尾さんのお二人が冷却DSLRについて、研究・試作・改造・販売を行っておられる。
また、最近では自分で自作を試みる人も増えてきた?
コンポジット 同じ被写体を2回以上撮影し、合成処理(加算平均.加算)を行う手法。
合成枚数をnとすると、S/Nは√nだけ改善される。

冷却CCDカメラをはじめ、デジタル天体画像では最も基本的な処理であり、複数の画像を用いるということを応用した画像処理法がいくつも考案されている。(NBR、フェイズシフト等)

積算
サチュレーション CCDや電子管の映像で被写体が明るく白トビを起こしている状態のことをサチュレーションを起こしてるという。
いわゆる、トンでいること。
だいたい略して、サチっているという。
むろん、NABGタイプCCDではサチっている状態ではブルーミングを引き起こすことになる。

余談だが、私の勤め先では、
仕事やなんやらで、もーいっぱいいっぱいの人をさしてサチってるといったりする(笑)
35mm版換算 デジタルカメラでは、CCDのサイズが小さいために、非常に狭い写野しか得られない。
そのため、とりわけ、小さいCCDを用いるコンパクトデジカメでは35mm版に換算された焦点距離を用いることが多い。
例えば、カシオのデジカメQV8000SXであれば、35mm版換算で40-320mm相当である。
しかし、実際のレンズの焦点距離は、6mm-48mm。
一眼レフデジタルカメラの場合、多くのメーカで採用されているAPS-Cサイズであれば、焦点距離が概ね1.5倍(素子サイズによって、1.3〜1.7倍、フォーサーズでは2倍)になる。
しかし、レンズは35mm版レンズを流用するためか、50mmの標準レンズをあえて、75mmといったりはしない。
なお、デジタルカメラは非常に高分解ではあるが、500mmの望遠鏡に一眼レフデジタルカメラを付けた場合、写野は750mm相当になってしまうが、必ずしも分解能が750mm相当になるわけではないことに要注意だ。
ただ、写野の広さが750mm相当に狭くなるだけの話。
500mmはあくまでも500mmなのだ。
三色分解撮影

光の三原色である、赤・緑・青の3枚のフィルタでそれぞれ撮影し、それらの画像からカラー画像を作る手法。
現在ではカラーフィルムが発達したため、純粋な写真的に用いられることはほとんどないが、その手法はさまざまな場面で応用されている。
なお、三色分解撮影を実際に初めて行い、証明してみせたのは、Maxwellで1861年のことだった。
天体への応用という点ではかつては先進的なアマチュアが103a系フィルムとシャープカットフィルタでの組み合わせで銀塩写真でも行われていたが、明るい光学系と優れた暗室テクニックを必要としたため、その効果の高さは認めても普及するには到らなかった。
それでも惑星撮影などでは多くの方が挑んだ撮影手法のようだ。

モノクロCCDカメラでカラー画像を得るために、今日では多くの天文アマチュアによって行われている。
手間と時間はかかるが、単板によるワンショットカラーに比べ、画像のシャープネス、色調の美しさの点で有利。

LRGB4元カラー合成処理

シェーディング 画像中央に比べて周辺が暗くなっていたり、画像の右に比べて左が暗くなっている状態をシェーディングが生じているという。
これを補正することをシェーディング補正といい、業務用カメラによっては鋸歯状波などを送ることによって回路的に補正できるものもある。
天体画像の場合は、画像処理で補正することになる。Stella Imageの周辺減光補正がこれにあたる。
フラット補正もシェーディング補正のひとつといえる。

左がシェーディングが生じてる状態。
周辺減光補正の他、中央部が薄暗くなっているのは、斜鏡の影ではないだろうかと思う。
CCD Charged Coupled Deviceの略。ビデオカメラ、デジタルカメラ、冷却CCDカメラなどの心臓部である。
原理は1970年代に開発され、1980年代には各地天文台でこれまでの写真感板から冷却CCDカメラへと置き換わる。
1982年のハレー彗星の検出はCCDによるものであった。
アマチュア分野では、1980年代後半よりCCDビデオカメラが使用され、惑星撮影に変革をもたらした。
アマチュア向けの冷却CCDカメラとしてはSBIG社ST4が1991年頃より日本で入手されるようになり、岡野邦彦さんや福島英夫さんをはじめ、先進的なアマチュアによって、使用された。
画素数はわずか3万画素であったが、当時のパソコン事情(CPU速度・記憶媒体)からすると、これは妥当なものであったかもしれない。
しかし、元々がオートガイダーのおまけ機能としての性格であったため、画質は良いものではなかった。

その後、1993年頃よりST6が販売され、本格的な冷却CCD時代の幕開けとなる。
岡野邦彦さんによる月刊天文のセンセーショナルな画像をきっかけとして、普及しはじめ、1995年頃にはミードや武藤工業などを始め、様々なメーカから様々な機種が天文ガイドの広告欄を飾った。
コンピュータの普及にも伴い、この辺りから、冷却CCDカメラによる天体撮影が本格的に普及しはじめる。
1998年頃には、現在も広く用いられている重要な画像処理である、デジタル現像処理LRGB4元カラー合成といった技術が確立され、アストロアーツ社のステライメージ2にそれらの画像処理法が実装され、冷却CCDカメラによる高画質天体撮影の土壌が確立されて現在に至っている。

なおCCDとは狭義ではフォトダイオードの周りにある転送路のことのみを指す。
この転送の方法によって、インターライン型,フルフレームトランスファ型などに大別される。
インターラインCCD                →CMOS
フルフレームトランスファCCD          →カラーCCD   
フレームトランスファCCD
スーパーCCDハニカム
CCDサイズ CCD受光面のサイズは一般的にその対角線の長さをインチで表示します。
実際には若干、大きさが異なることもあります。(ST7MEのKAF402MEは6.4×4.9mm)
対角長(mm) 画面サイズ(mm) 主な天体用CCDカメラ
1.8inch 27.7 23.0×15.5 FinPixS2Pro,EOS Kiss Digital
1inch 15.9 12.7×9.5 ST8XME,BT211E
2/3inch 11.0 8.8×6.6 BJ-41L,ST6
1/2inch 8.0 6.4×4.8 ST7XME,BJ-40L,BJ-32L
1/3inch 6.0 4.8×3.6 ST237A
1/4inch 4.0 3.2×2.4 ToUcamPro
最近ではデジカメでは、1/2.7インチ,1/1.8インチCCDなども良くつかわれる表記です。
昔なら、そのまま、1/3インチ、1/2インチと表記されたのでしょうが・・

なお一眼レフデジカメに採用されているAPS-Cサイズの素子は1.8インチCCDです。
フォーサーズは名前の通り4/3インチCCDの使用を前提とした規格。
Cマウント 映像撮影機用レンズの規格で、広く普及している。フランジバックは17.526mm
CCDカメラモジュールの場合、多くがこのCマウントか、CSマウント(フランジバック12.5mm)を採用している。
イメージサークルが小さいため、CCDサイズ以上のイメージサークルを持つレンズの購入が必要となる点は注意が要るが、カメラレンズよりも狭いエリアのみカバーすれば良いため、一般的なカメラレンズに比べ、F値がより明るく、また、CCD用に合わせた広角レンズなどは6mmF1.4や3.8mmF0.8などカメラレンズでは考えられない(っつーか意味がない?)ようなスペックのレンズがある。また価格も比較的安価で、レンズも小型・軽量である。

これら明るいレンズと高感度のCCDカメラモジュールとの組み合わせでは星座や流星を写し出すことが可能となる。
写真はToUcamPro改(ケース替えただけ)に25mmF1.4Cマウントレンズを付けたところ。非常にコンパクトなレンズであることが判るだろうか・・。

天文用冷却CCDカメラの場合、残念なことにその多くが独自規格を採用している。
しかし、ビットランのBJシリーズはCCDサイズが大きなBJ-42を除き、Cマウントを採用している。
そのため、天体の強拡大撮影以外にも、このCマウントレンズを使った広角撮像なども楽しむことができる。
CMOS CCDでは電荷をバケツリレーのように転送していくが、CMOSの場合は、各画素ごとにスイッチを設け、順次ON/OFFを行って、各画素の信号を出力端子に取り出していく。
各画素で読み出していくのでブルーミングなどはないが、この際のスイッチングノイズが画像に載るなど、画質の面ではCCDに劣ると長年されてきた。
近年では、デジタル一眼レフカメラに採用され、少なくとも観賞用の写真という観点からはCCDを使ったデジタルカメラと遜色がない映像が得られる。
CCDに比較し、コストに優れ、消費電力が少ないというメリットを持つ反面、感度や画素密度の面ではまだまだCCDに及ばない。

もともとは安価なデジタルカメラやカメラ付きケータイでの使用実績が多かったが、今日ではデジタル一眼レフカメラにも積極的に使用されている。
天文用冷却CCDカメラへの採用例はないが、これは今後もないと考える。
前述のように、感度はCCDに及ばず、ノイズも多いからだ。
デジタル一眼レフでは映像エンジンと呼ばれるメーカ独自の画像処理技術によって、ノイズを効果的に取り除いているため実用になっていると思われる。
焦点深度 レンズのピントを合わせ、焦点位置からフォーカスを前後させても像がぼやけない範囲のこと。
レンズを絞ると焦点深度は深くなる。
また、焦点距離が短いレンズでは被写体から離れる程、焦点深度は深くなる。
天体撮影で考えた場合でも、短いレンズの場合、CCDの1画素内に星が収まってしまい、やはりフォーカスの許容範囲は広くなり、焦点深度が深くなると思われる。

CCDカメラでの焦点深度は
  焦点深度=F値×CCD画素サイズ×2
で表される。
 F9のVISACに画素サイズ9ミクロンのST7MEの場合では
  焦点深度=9×9(μm)×2
        =162μm
となり、案外焦点深度が深いことが判る。

CCDカメラでの天体撮像を考える場合、抑えておくべき重要な項目のひとつがこの焦点深度だと思う。
ストリーク
周囲とのコントラストが強く、明るい被写体を写した場合、CCDの水平転送方向にうっすらと線を引く現象。
左の画像で電灯から右方向に尾を引いているのがストリーク。
武藤工業製冷却CCDカメラ、CVシリーズでは特に顕著だった現象で、武藤工業側で、ストリーク(スミア)と称していたため、ストリークという名で定着した。
ストリークの元来の意味合いは別のもの。
どうやら、ABG付きのCCDで特に顕著になるようである。
スーパーCCDハニカム 富士フイルムが開発した新型CCD。その名のとおり、ピクセルの形が四角ではなく、蜂の巣のような八角形をしている。
それにより、ピクセルサイズの改善や開口率の向上など様々なメリットがある。
しかし、データは市松模様状に欠落するため、その間は補間処理で補う(バーチャピクセル)。
そのため、当初240万画素のハニカムCCDを搭載したデジカメを4.3MPixelと記載したことが問題になったようだ。
補間処理を行うため、位置計測などの計測・天体観測用途には向かないが、観賞用写真にはなんら問題はなく、むしろ積極的に高感度化へのアプローチをしているため、FinePixS1Proなど、30秒露出までのデジカメながら天体写真も充分に撮影できる。
本来は、インターライン型CCDの変形で、補間や色再現に関しても、周囲の4つの画素を参照にして行っているため、精度が良く、色再現については、その方式から2判CCDといえるとメーカーは言う。
実際、感度は高いようで、天体も良く写る。
但し、一般写真では、水平・垂直の解像力は高いものの、斜め方向の解像力は非常に低下する点が指摘されている(そういう設計ではあるが・・)。そのため、もし、木星などを写そうとした場合、必ず縞模様を水平に取ることが肝要となりそう。

写真はスーパーCCDハニカムIIIを搭載したFinePixS2Proによるもの。

CCD
スミア
一般的に、CCDカメラで生じるゴーストのことの総称をスミアと呼ぶようだ。
主に、明るい撮影物の周りに生じる円形のゴーストや、CCDの画素内部での乱反射(ABG型では開口率が100%ではなく画素内に遮蔽物があるため、そこでの乱反射が生じる?)、フルフレームトランスファ型CCDで転送中のシャッタが間に合わなくて、垂直方向(読み込み方向)に明るい筋を引く現象、明るい対象から水平方向にうっすらと筋が伸びるストリークと呼ばれる現象などがある。
発生する原因・メカニズムはそれぞれ異なるが、いずれにしても気持ちの良いものではない。
画像で明るい星の周りにある円形のもの、垂直方向にのびるカーテン状のものがスミア。
CDやゲームソフトを売ってるお店ではない(そりゃ、すみや)
3CCD カラーCCDの方式には1枚のCCDチップでカラー画像を得る単板カラーCCDと3枚のCCDを使って
カラー画像を得る3CCDとがある。
通常、ダイクロイックプリズムを用いて、入射してきた光を、R,G,Bの各波長に分解し、それぞれの光を別々のCCDで受ける。
3枚のCCDを用いることによって、CCDの持つ解像度をフルに活かせることや、各チップで最適化されて画像を出力できるため、色再現性が高く、画質が良いことなどのメリットがある。
さらに、画素ずらし法によって、GにあたるCCDの配置を半画素分ずらして配置することにより、解像力を1.5倍、CCDの画素数を2倍とする手法も民生用DVでは良く採り入れられている。
反対にデメリットは、どうしても光路が複雑になるため、大型化がさけられない点、コストがかさむため、高価格となる点などが挙げられる。

天体用としては、LRGB4元合成法がある現在、あまり魅力的なものでもないのかもしれないが、時間が限られる惑星や彗星、それに彩度の高い散光星雲には絶大な威力を発揮しそう。

もっとも、身近なのはデジタルビデオで、各社、ハイエンド機では3CCD方式を採用している。
3CCDを使ったDVでの惑星画像では、実に美しい色調で高解像の惑星像が撮られている。
デジカメでは、プロ用の超高級機には3CCDを採用した機種もある。が、価格的には雲の上の存在。
なお、現在行われているモノクロ冷却CCDカメラ+原色干渉フィルターでの三色分解撮影は、時間と手間はかかるが、3CCD方式と変わらない解像力・色調を得ることができる。
赤外カットフィルター CCDカメラは、一般的に200nm〜1100nmまでの幅広い波長域を感光するといわれている。
これは、CCDが可視光(380nm〜780nm)を越える幅広い領域に感度があり、とりわけ、近赤外領域への感度が高い。
そのため、被写体によっては光量を稼ぐことができ、高感度化へ一役かっているが、
赤外領域を含めることは三色分解合成によるカラー表現を考えた場合、あまり好ましいとはいえない。
少なくとも一般的な色表現とはややかけ離れてしまう。
現状では、可視域に絞って三色分解撮影を行うのが一般的である。
また、原色干渉フィルタの中には、赤外領域では透明になってしまっているものもあり、この場合は赤外カットフィルターの併用をしなければ、正常な三色分解効果を得ることができない。

また、近年ではLRGBカラー合成による4色分解が一般的であるが、この際、輝度となるL画像に赤外領域を含めた場合、光学的に長い波長は分解能の面で不利であり、高解像を狙う場合に有利とはいいがたい。
そのため、赤外線をカットしたL画像(輝度信号)を撮像する必要性が生じる。

なお、一般的な写真用フィルターとしてはケンコー製DR655が代表するように、650nmよりも長い波長はカットしてしまう場合が多い。
これは、植物等が赤外線を強く反射するため、緑色のサボテンが赤褐色になるなど、目で見た場合と色が異なるのを避けたり、色の濁りを防止するためであり、デジタルカメラの多くがこの特性の赤外カットフィルタを用い、散光星雲の発するHα線はだいぶカットオフされてしまう。
対して、天文用に用いられているIDAS製やEDMUND製の赤外カットフィルタは、700nmより長波長をカットするよう設計されており、Hα線に対して影響を与えないため、天文用として大変都合が良い。
積算
複数枚の画像を加算合成していくこと。いわゆるコンポジット処理のこと。
メモリ積算(トラック&アキュミュレート機能など)で撮像時に自動的に積み上げて画像合成していってくれる場合とユーザー自身が画像処理ソフトで行う場合とがある。
ある程度の光量を稼げば、積算で長時間露光による1枚画像となんらかわらない映像が得られるため、デジタルカメラ(冷却CCD・一眼デジカメなど)による天体撮影ではフィルムによる撮影に比べ、ぐっと楽になった。
とはいえ、あまりに短時間露光での画像は何枚積算してもなかなか美しい映像になりにくい。
1回あたりの時間はF値・CCDカメラの感度・撮影対象(無論、明るい星雲なら短くてもいいし、暗い星雲ならそれなりに時間をかけなくてはならない。0は何回足しても零なのだから)によって、異なってくるが、F4程度の光学系でST7E(ABG)であれば、3分程度の露光時間を積算していけば、
たいていの対象では満足のゆく画像ができると思う。
上の画像はF6.3の光学系にST7E(NABG)で5分露光で捉えたM27を一部拡大したもので、
1枚画像ではかなり荒れている様子が伺えるが、積算すると劇的に画像が改善されていく様子が判る。
とりわけ、1枚積算(2枚の画像を用いる)だけで画像が劇的に改善される。そのため、LRGB法を用いるにしても、RGB画像に対しても1枚は積算することをお勧めしたい。
なお、
n枚の画像を積算すると、S/Nは√nだけ改善される。

自分の撮影結果からは1枚の画像を長時間で得るよりも積算した方がS/Nが良い結果が出ている。この結果は理論的には疑問が残る(本来は逆であるべきなのだ・・)ものの、CV-04L,ST7Eでも同様の結果だった。
個人的には理論よりも実践した結果を優先して考えたい。
恐らく積算時に、若干、画素がずれる(星の位置と画素の相対位置が異なるため)ので、その分、
S/Nが良くなっているのではないかと思う。
極端に輝度が下がるナローバンド撮影に於いては、露光時間を延ばした方が良いという結果が得られている。

詳細は『CCD'erの憂鬱』をご覧ください。

コンポジット
ダークノイズ 暗電流ノイズとも呼ばれる。
CCDを長時間露光していると、完全な暗闇であっても暗電流と呼ばれるノイズが発生し、蓄積されていく。
左写真の明るい白い点がダークノイズ。白点とも呼ぶ。
CCDを冷却することによって、暗電流の発生を押さえることができるが、完全になくすには−100℃程度の冷却が必要。
幸い、このノイズは冷却温度と時間によって再現性が高いため、同じ冷却温度と露出時間で撮影した画像を用意すれば良い。画像同士を減算することで除去できる。
我々の扱う天体用の電子冷却CCDカメラでは冷却が不十分であるため、ダークフレームを必ず撮像し、生画像から補正する必要がある。
天文台では冷却には液体窒素が用いられ−120℃前後まで冷却される。

なお、−7℃冷却すれば、暗電流は半分になるといわれている。(S/Nのうち、Nが1/2になるので感度2倍と同義と言われているが・・・・)
いずれにしても撮影の際には可能な限り冷却したい。

なお、カラーCCDではダークノイズは赤・緑・青の原色の点として現れる。
デジカメではその形状が星に似ていることから、スターノイズとも、その原色の派手さからクリスマスライトとも呼ばれることもある。

なお、現在の天文屋さんは、ダークフレームは昼間や曇天の日にまとめて撮影することが多いと思うが、
この際、電源は撮像時のものと同一のものを使用しないと、ダークフレームが一致しないこともあり、要注意だ。
実際にHαフィルターで撮像した画像を別電源で得たダークで減算したらダークが合わず、画像が消えてしまったという話を聞いたことがある。
撮像に使用する電源は同一のものを使うようにしよう。
ダイナミックレンジ 写真でいうラチチュードのこと。Dレンジとも略される。
黒から白までを何階調で表すことができるかのことで、定格出力と暗状態での出力比をデシベル表示する。

ダイナミックレンジはA/D変換器の性能(14bitや16bitなど)によると思われがちであるが、実際には、CCDの飽和電荷容量でダイナミックレンジは決まる。
一般的に、ピクセルサイズの大きなCCDほど、蓄えられる電荷容量が大きいため、ダイナミックレンジは広い。

デジカメの極小画素サイズのCCDではノイズを抑えることによって、Dレンジを確保している 
現在、デジカメには12〜14bit程度の過剰なA/Dコンバータが搭載されているが、これはどちらかというと撮影後のカメラ内で行われる画像処理を精度良く行うためのようである。
カメラ内で画像を処理することなく、出力される冷却CCDカメラの場合には、電荷飽和量を超えるビット数のA/D変換器が搭載されていても無意味であるといわれる。
ST−7のA/D変換のスペックは14bitでビニング時に16bitというのは、その点を鑑みて公表したスペックではないかと思われる。
ビニング時とそうでない場合に、別々のA/D変換器を使うとするとコスト高になるので、まずないと思う。
業務用カメラには、フォーカスなど高速連続取り込みを行うための高速A/D変換と、低速読み出し用の高bitA/D変換器の2つを搭載した製品もある 
なお読み出しに関しては低速で読み出す方がノイズが少なく良質な画像になる。
天文用CCDでは、どうせ10分もの間露出しているので、変換が遅くともさほど気にならないため、この部分にかかるお値段も低く抑えることができる。
デジタル現像処理
岡野邦彦氏が考案した冷却CCD画像のための画像処理手法のひとつ。
この処理を施すことによって、これまで、ハイコントラストすぎたCCD画像がいっきにフォトクオリティになる。
処理手法が煩雑なため、当初は複数のソフトを用いるなど使いこなすにはかなりの画像処理の経験と知識を要したが、現在ではStella Image4によってコマンドひとつで実行できる。
天文雑誌で、あまり画像処理を行わなかったから自然な画像であるかのうような記述がされることがあるが、確かに操作としてはボタンひとつで済むかもしれない。しかし、このデジタル現像処理は非常に複雑な画像処理の結果なのであって、
美しい画像は、適切な画像処理の結果であるということを忘れてはならない。
電子シャッタ IT型CCDには基本的に電子シャッタ機能があり、メカニカルシャッタを必要としない。
また、メカニカルシャッタと違い、電子シャッタの場合は、電子をサッと抜くだけなので、高速動作が可能となっている。
月面・惑星には間違いなく、電子シャッタの方が有利である。
むろん、高速動作させても壊れることはない。
ビットランのBJシリーズは電子シャッタを用いている。
メカニカルシャッタは省いているが、インターラインCCDでは読み出し時に、偶数列と奇数列で若干のタイムラグを生じる。
そのため、露光時間が若干変わり、後から読み出される方は輝度が高くなってしまう。
暗い天体では問題にならないのかもしれないが・・。
左画像は、BJ-32Cによるものを2倍に拡大して見たものであるが、読み出しのタイムラグによる露光時間の差が画像に横縞となって現れていると思われる例。

そのため、市販のコンパクトデジカメであっても、電子シャッタの他に、メカニカルシャッタを備えているのが通例である。
読み出し中は、メカニカルシャッタで遮光して、感光しないようにしている。

メカニカルシャッタ
バイアスフレーム CCDカメラでは、画像データの数値が0以下にならないように、BIAS電圧を加え、あるていどゲタ(Offset)をはかされている。
なお、露出を0秒にして撮像すればバイアスフレームが得られる機種もある。
武藤工業製冷却CCDカメラの制御ソフトのひとつであるCCDPLUSでは、このバイアスの値をユーザで変更できる。ノーマルでは512カウント。その他の設定値をうまく設定することで、ノーマル状態よりも若干、Dレンジを広くとることが可能かもしれない。
SBIG社のST7Eではバイアスは約100カウント。

なお、バイアスは減算しなくては正確な天体の輝度情報を得ることができない。
そのため、ソフトウェアによっては、バイアスフレームの項目があるものもあるが、
ダークフレーム減算によって、バイアスも減算されるため、通常、気にする必要はない。
ピクセルシフト 画素ずらしとも呼ばれる。
主に3CCDで使われる手法。
RGBの3枚のCCDのうち、輝度信号を担うGのCCDだけ画素の半分だけわずかにずらして配置することにより、CCDの持つ解像力を向上させる手法。
解像力は1.5倍、画素数は2倍になる。
なお、この手法を利用した4判式CCDも放送用途では作られており、その効果の有用性のほどが知れる。
その場合は、R,G1,G2,Bの4枚のCCDを用い、G1,G2のCCDが半画素ずらした状態で設置される。
輝度情報の主成分である緑にあたるCCDが2枚用意され、高解像化されているわけだ。
民生品では、DVのハイエンド機では3CCDが採用され、やはりこのピクセルシフト技法が採用されている。
そのため、VGAクラスの画素数のCCDでありながら、静止画はメガピクセル相当で撮影できるなど、各社、工夫が見られる。
また、コンパクトデジカメでは、わずかな機種ではあったが、
水晶板をCCDの前面に配置し、水晶板の傾きを変えることで、光路をわずかに変化させ半画素ずらす。
変化の前後で2回シャッターを切った画像を合成することにより、CCDが持つ以上の解像力を得ることができる機種がビクターやリコーから販売されていることがあった。

いずれの方法にしても、画素の半分が転送路に覆われていて、感光するフォトダイオードの部分が少ないインターライン型CCDに効果がある手法。
ビットラン アマチュア向け天文用冷却CCDカメラも生産するメーカ。
産業用,生物用のCCDカメラも生産しており、比較的安価に提供しているようだ。
そのため、某M工業のように突然、生産中止することもないと思われ、安心感がある。
比較的安価なプライスでの価格がアマチュアとしては嬉しい。天文用はどちらかといえば、ついでなのだろう、天体で儲けることには固執していないように思う。

安価だからとて、性能は非常に優れており、要所要所を押さえて作られたBJシリーズは低価格ながら、優れた画質を示す。生物用なども手がけているだけあって、その技術がフィードバックされているのだろう。
逆に天文専用のBT-200シリーズはもう一つ踏み込んで考えてくれても?と感じる面がある。
いずれにしても、国産だけあって、品質が高く、安定感が非常にあり、サポートも迅速。
ガイドシステムさえ、揃っているならば、間違いなくお勧めできるメーカーである。

広面積・高画素で比較的安価なBJ-42Lについ目がいきがちだが、高感度なBJ-41Lはオールマイティな使い方が出きるのでお勧め。撮影対象にもよるが、系外銀河、Hαフィルター、彗星などいろいろ撮りたいなら、断然41Lがいい。
42Lは広い面積と画素数は魅力だが、やや感度が低いため、系外銀河は面積的にともかくとして、Hαフィルターでも苦戦を強いられると思うのでこの点は留意した方がいいと思う。
(感度差がストレートに効いてくる撮像法のようなので)。

その他にも様々なメーカーのCCDチップを使った魅力的なカメラが販売されている。

メーカのホームページはこちら
http://www.bitran.co.jp
ビニング 周囲の4ピクセルを足し合わせ1ピクセルとして読み込む手法。
4ピクセルの値が足し合わされてから読み込まれるため、輝度値が4倍になり、かつ読み込み時に生じるリードノイズが1/4になるため、感度が4倍になると説明される。

リードノイズは非常に小さいため、長時間露光を行う上、冷却不足に陥りがちな天文用冷却CCDカメラで感度4倍を実現できるかは甚だ疑問である。
また、ある程度以上の輝度が得られれば、当然読み出しノイズは無視できる格好になり、やはり感度4倍にはなりえない(光害で背景の輝度値が高くなってもダメなのだろう・・)
そのデータは笠原さんが某BBSに公開したことがあり、輝度値があがるにつれ、ビニングの感度上昇効果がなくなっていくことを示していた。
観賞用天体画像においては、ビニングは大きな効果をもたらさないかもしれない。
それもあって、自分は余りビニングを好まない。

また、当然4つのピクセルを足し合わせるため、画素数は1/4になる。
なお、研究用途では、この発光が捉えられるかどうか、という検出限界ギリギリのところで使うため、ビニングの効果が最も発揮されると思われる。
観賞用の天体写真ではS/Nをより良くしたいという点から用いるわけで、少々条件が異なるように思う・・。
PhaseShift
フェイズシフト。デジカメでの暗電流除去のために考案した画像処理法の一つ。
撮影時の合間にわずかに写野をシフトさせ、ノイズの位置と星の位置の差を生じさせ、
比較(暗)にてノイズを除去する方法。
その効果は上の写真の通り。
FinePixS2Proでは暗電流除去のノイズリダクション機能が搭載されていないため、
考案した。
本来の名称としてはピクセルシフトが良かったのだが、『ピクセルシフト』という撮像手法は、古くからあるため、フェイズシフトとした。
なお、この名称もAO(波面補償光学系)の用語であるとか・・。
もちろん、これはそんな高尚な手法じゃない。
ついでにいえば、実家に帰省した時に見たガ○ダムでなんかそんなこといっていたんでそのまま、付けたんだったやうな・・。
なお、星ナビ誌2003年4月号でこの手法の解説がある。
フォーサーズ オリンパスとKodakによって提唱された一眼レフデジタルカメラの規格。
規定されたCCD撮像素子のサイズが4/3インチ(約18mm×13.5mm)であることからフォーサーズと呼ばれている。
恐らく、規格発表と同時に、実機を販売していれば、大きな成果をあげたと思われる。
しかし、現行のAPS-Cサイズ(23mm×15.5mm)の一眼レフデジタルカメラが普及しはじめ、また比較的低価格でリリースされている現状においては、苦戦を余儀なくされるだろう。
富士写真フィルムも賛同を表明しているが、フォーサーズサイズのハニカムCCDをリリースしたという話も聞かない。

とはいえ、最も気になるのが、フォーサーズの一眼レフデジタルカメラ、E−1,E-300にKODAK社のマイクロレンズ付きのフルフレームトランスファCCDを搭載している点。
マイクロレンズ付きFFT-CCDとくれば、フロント照射ながら量子効率が85%もある、MEチップを連想させられるが、そのカラーCCD版を搭載しているのではなかろうか。
もし、そうだとすれば、他の一眼レフデジタルカメラよりも圧倒的に星撮に有利であるかもしれないという期待がある。
マウントが新規格で、望遠鏡に取り付けるアダプターが(たぶん)まだない点と、撮像素子サイズが35mm版に比べ、ずっと小さい点はマイナス。
なお、E-1,E-300は未改造でもやはり赤が他社製デジタル一眼よりも良く写るようである。
赤外カットの透過率が他社製と同程度だとしても、FFT型CCDの為、センサの赤感度が恐らく2倍ほど高い為であろう。
Foveon X3 イメージセンサ Foveon(フォビオン)社が開発した新しいタイプの撮像素子。
通常の撮像素子ではカラーフィルターを前面に配し、隣接する画素より色情報を得てカラー画像化している。
しかし、この方法では、CCDの持つ画素数を活かすことができない。
X3では深さ方向にフォトダイオードを3層構造にすることで、1画素で3色の情報を得られるようにした。
波長の長い光ほど、表面から深いところまで達することを利用しているのだ。
表面から順に青・緑・赤の情報を得ることができる。
但し、その分光特性は決して良いものではなく、赤いテールランプが白くトンでしまうなどの弊害が実際にある。
しかし、その画像の切れ味の良さはさすがで、確かにモノクロCCDや3CCD並の切れ味があり、実際の画素数以上の品質を感じる(モノクロ冷却CCDを扱っている身からすれば、逆に他のカラーセンサの解像力が鈍いということなのだが・・)

シグマの一眼レフデジタルカメラ、SD-9,SD-10,SD-14で採用されているが、露出は30秒まで。
長時間露光はできないため、星野撮影には向かない。
また、分光特性の悪さから星などは色がトンで色がでないかもしれない。
しかし、その切れ味の良さから月面・太陽撮影には、同価格帯の一眼レフデジカメ以上の威力を発揮するに違いない。
画素数こそは確かに300万画素しかないものの、恐らく1000万画素を越える35mmフルサイズ一眼レフデジカメに勝る切れ味の月面像をたたき出すはずだ。
同価格帯のAPS一眼レフは相手にならないだろう。
モノクロ冷却CCDカメラの切れ味の良さを知る者としての推測に過ぎないが、あながち的はずれでもないと、同社のサンプル画像を見て、そう思う。1000万画素フォトセンサー搭載という同社の唄い文句は、シーンは限られるかもしれないが、解像力最優先の天体撮影にはまんま適用されると思う。ぜひ、どなたか月面撮像・太陽撮像にチャレンジしてみて欲しいものだ。
しかし、マウントがシグマのSAマウントで、同社独自のものである。
同社製レンズが使えるため、カメラレンズに困ることはないが、望遠鏡接続用のアダプタまではないかもしれない。

フラットフレーム CCD各画素のばらつきを補正すると良く言われるが、実際には、光学系の周辺減光を補正したり、CCD上に落ちたゴミのカゲを補正するのが主な役割である。
左画像はフラット画像の一部。丸い黒いリングがCCDに落ちたゴミの影である。横にすったような跡はCCDのカバーガラスを清掃した際のアルコールの拭きのこし。良質なフラットデータが得られればライトフレーム上のこれらすべてが補正できる。
町中では、周辺減光が強く生じることから、補正する必要を感じるが、逆に暗い済んだ星空の元ではあえてフラット補正を施さなくても、充分にフラットな画像を得ることができる。ただし、ゴミがあってはダメである。
あくまで、鑑賞用画像での話で、研究用途においてはちゃんとフラット補正をしなくてはならない。

フラット補正を得るには様々な方法があるが、そのうちいくつかを紹介する。
なお、フラットの輝度はST7Eで約10000カウント程度は欲しい。
それより暗いと画像のS/Nが悪化するようだ。また、8枚程度の加算平均を行うことが望ましい。
もちろん、フラット画像自身のダーク補正を行ってから、加算平均しなくてはダメ。
 
・クラウドフラット
曇った時に夜空を写す。光害の様子をフラットに反映することができるため、町中や低空の天体に有効であると思われる。
実際に自分の画像では彗星には良く適用する。
状況によりかなり変化するが・・露光は数分程度必要。

・トワイライトフラット
夜明けの薄明時の天頂付近の空を撮る。時間によって刻々とレベルが変化していくが、あえて無視して8枚の画像を合成して使う。1分露光程度で撮影していれば、飽和寸前の画像から順番に8枚を加算平均するとちょうど良いフラットとなり、良質なフラット画像が得ることが出来る。

・畜光塗料フラット(ガイコツ君)
よしざわさんのアイデア。畜光塗料をアクリル板に塗布したものを、望遠鏡の筒先に置き、撮像する。撮影ごとに塗料面に明かりを当てる必要があるが、手軽に充分良質なフラット画像を作成できる。なお、上の画像はこの方法によるフラット画像である。 
若干、光量が不足気味。

・EL発光フラット(ガイコツ君II)
もともとは横浜のいこさんのアイデア。EL面発光体を望遠鏡の筒先にかざして行う。
発光強度も充分に強く、短時間で非常に良質のフラットデータを得ることができる・・らしい。
僕は持ってないので使ったことがないんですよ〜 (^^;

フルフレームトランスファCCD FFT型CCDと略される。
CCDの前面に透明電極が配されるため、基本的に開口率が100%であり、感度が高い。
しかし、アンチブルーミング機能付きの場合、オーバーフロードレイン構造のため、Kodakの場合、70%に開口率が低下する。また、Kodak製CCDの場合、どうもこのオーバーフロードレイン構造で光が乱反射し、スミアが生じるようである。
また、透明電極によって、光の吸収が起き、短波長側の感度が悪くなるという欠点があった。
TIのバーチャルフューズCCDやKodakのEチップはそれを克服した製品である。
読み出しの関係で、メカニカルシャッタが必須となる。
読み出し中は露光できないためビデオカメラなどには使用できないのだが、静止画を得るには適している。
また、高い感度、とりわけ赤〜近赤外に高い感度を有しているのが特徴。
CCDの感光域のほぼ全域に渡って高い感度を持つ裏面照射型CCDもある。

アマチュア用の天文冷却CCDカメラでは、Kodak社のKAFシリーズが有名。
ST7E,ST8E,ST9E,ST10MEなどすべてKodak社のFFT型CCDである。

またデジカメではオリンパスのE-1がFFT型を採用している(CCDのメーカはKodak)
無論、Kodakだけではなく、Bt241で採用されているPhilips社や高価だが、Site、Marconi、Hamamatsu・・様々なメーカで製造されている。
デジカメなどに用いられることは少なく、科学技術用途や研究用途が主となっている。
ブルーミング ABG機能(オーバードレイン構造)のないCCDの場合、電荷があふれると生じる見苦しいたて筋のこと。
観賞用としては頂けない。
しかし、Kodak社のNABGタイプのCCDの場合、ABGタイプ比べ感度はずっと高い。
実質2倍もの感度の差があるのが現状だ。NABGでは30分で済む写真がABG版だと60分も露出しないとダメなのだ。これは辛い。
そこで、現在は、ソフトウェアで補正する手法が確立されている。

NBR法(nonブルーミング合成法)
ブルーミングは垂直方向にしか伸びないことを利用し、カメラを回転させて撮影し、比較(暗)を用いることにより、ブルーミングを消去する手法。
他のソフトウェア的に消去する手法と比べ、こちらはブルーミングに隠された情報を再現するという点で優れている。
ただし、撮影時、カメラを回転させて撮影するため手間がかかる。
ステライメージ4にはコンポジットにNBRの項目がある。

ABF
田中一幸氏作成のブルーミング除去フィルタ。
単体で動作するスタンドアロン版とMaximDLのプラグインとがある。
効果はかなり高く、ブルーミングが良くとれるものの、やはり強めな処理を行ったり、デジタル現像処理などでエッジ強調を効かせるとやや都合が悪い。それはNBRを除く他のソフト処理でも同様。
レタッチが必要になる。有料。

Pixy2
MISAOプロジェクトのPIXY2ソフトウェアは新天体検出用のプログラムであるが、これにもブルーミング除去プログラムが実装されている。パラメータ変更ができないため、場合によっては恒星像を悪化させる場合もあるが、ブルーミング除去という観点から鑑賞用としてもかなり有用なプログラムである。フリーウェア。

CCDOPS Ver5
SBIGの冷却CCDカメラ付属の制御ソフトCCDOPSにもブルーミング除去フィルタが実装されている。SBIGユーザは無論、タダで使える。ってゆうか、他メーカのカメラだと使えないっすね。
機能的には前述の2つのプログラムに比べ今一歩というところか。しかしブルーミングはとれるものの星像が悪化しすぎるきらいがあった。あまり試したわけではないので、たまたま、そうだったのかもしれないが・・。
SBIG専用なので、カメラに合わせたきめ細かく、精度の高い補正を期待したい。

de Bloomer
MaxImDLのプラグイン。海外の作例を見る限りでは高い性能を有する様子。有料。海外にもいくつかのブルーミング除去フィルターがあるようだ。


いずれの手法にしても、ソフトウェアによるブルーミング除去は完全ではなく、エッジ強調やアンシャープマスク処理などを行った場合、粗が出てくる。
これを回避するため、コンポジット枚数を増やして補間精度の向上を見込む、ブルーミング修正後、レタッチ、もしくは、明るい輝星のみにぼかしを適用するなど、ユーザー側の工夫も要る。

下は1枚画像に各ソフトウェアによるブルーミング除去処理を適用した後、エッジ強調を入れたデジタル現像を適用した例。エッジ強調なしでは、どれも見事にブルーミング除去されていたが、エッジ強調で各ソフトの粗が見えてきた。

CCDOPS、Pixyでは、星雲左下にかかる星が影響を受け、星像が悪化してしまっているのに対し、ABFでは星像がシャープなままであることに注目。ABFはパラメータ設定を変更できる点も良く、一歩抜きんでている。
私の画像ではブルーミング除去はすべてABF(かプロトタイプのDOS版ABF)にて処理しているので、他の作例もご覧頂きたい。有料だがその価値は充分にあるソフトだと思う。
ちなみに、上画像は粗が判りやすいように処理してある。
無論だが、完成画像ではブルーミング除去の痕跡は極力判らないように処理している。
完成画像

アンチブルーミングゲート
フレームトランスファ型CCD FT型CCDと略される。
FFT型の機構はそのまま同じなのだが、最大の違いは、CCDチップの半分が遮光膜で隠されているところ。そのため、開口率50%といわれることもあるが、無論、遮光膜のないところのCCDは開口率100%である。
そのため、FFT型と同様、感度が高い。半分が覆われてしまうため、有効面積が狭いのが欠点。
撮影直後のデータは高速に下の遮光膜の部分に転送されるため、シャッターがなくとも撮影は可能である(ただし、非常に明るい対象においては、転送中に感光して転送方向にスジを引いてしまう可能性はある)遮光膜に送られたデータは比較的ゆっくりと読み出される。
転送中でも上半分の遮光されていない部分では露光できるため、ビデオカメラにも用いられていた。
上の写真がFT型CCD。チップの半分が遮光膜に覆われて暗くなっているのが判ると思う。
チップ上側の白い四角の部分がCCDの感光する部分。
アマチュア天文用としては、ST5がFT型CCD。
また、かつて、火星面撮影に大活躍したCanonのCi-20赤外ビデオカメラもFT型CCDと聞いたことがあります。

CCD
フルフレームトランスファCCD
メカニカルシャッタ FFT型CCDにおいては、画像転送時に光りがあたっていると転送方向に光すじが生じてしまう(スミア)。
それを防ぐには、画像転送時にシャッタでCCD前面を覆わなくてはならない。
そのためにメカニカルシャッタを用いる。
しかし、このメカニカルシャッタというものは意外とやっかいで、たいていの場合高速シャッタが切れない。
例えば、SBIGのSTシリーズに使われているシャッタは0.11秒が最短である。
ムトウ製のCVシリーズではコパル社製の良いシャッタを使用していたが、それでも0.008秒、1/125秒が最短であり、月面撮影には不満が残る。
また、メカニカルシャッタには寿命もあり、惑星撮影になどで頻繁に使用している場合は、シャッタの劣化にも留意する必要がある。
シャッタがこすれて、摩耗するため、そこで生じたゴミがCCD上に落ちるなどということもある。
電子シャッタ
ライトフレーム 星雲など、目標とした対象を撮影した画像のこと。
ダークフレーム
リニアリティ ある強度の2倍の光を入射したら出力カウントも2倍になるというように、入射と出力の関係がy=xの直線となること。
NABG付きCCDではy=xの関係がほぼ成立するが、ABG付きではその限りではない。
なお、実測する際にはかならずバイアス(ダーク)を減算して輝度値を調べる。
なお銀塩写真ではかなり複雑に変化するため、チャートを撮影し、コンパレータでその関係を算出して測光せねばならず、非常にやっかい。
一眼デジカメでもCCD-RAWで撮影したとしても、内部で様々な画像加工がされており、リニアリティはとられていない。
そのため、ダーク減算処理ができないのもデジカメのデメリットのひとつ。
裏面照射CCD CCDを十数μまで薄く切削し、CCDの裏側から受光するようにしたCCD。
その製造工程・実装方法などが非常に難しいため、必然的に高価になってしまう。
しかし、量子効率が90%近くまで向上するため、非常に感度が高い。
プロの天文台で使われているCCDはほとんどがこのタイプのものである。
短波長側から長波長側まで高い量子効率を維持するため、ノーフィルタでの撮影では、普通の表面照射CCDとは比較にならないほどの感度差が出そう。
また、波長によるCCDの感度に極端な差が出ないということは、三色分解撮影もやりやすく、測光などでは、より正確な値が期待できる。鑑賞用としても美しいカラー画像を生み出すことができそうである。
アマチュア向けとしてはApogee社の25万画素のAP−7があるが、100万円以上と非常に高価。
以前の天文雑誌を眺めていたら、46万円で22万画素の背面照射(最大量子効率80%)カメラがあったのだが、それがなくなってしまったのは残念!
最近では、Marconi社の裏面照射型CCDを搭載したAP-47という機種も出ている。

なお、切削ムラによって、微妙に感度差が生じたりするため、フリンジと呼ぶムラや切削痕が画像に現れることもあり、とりわけ近赤外光ではそれが顕著になるようだ。
また、数十ミクロンと非常に薄いため、急激な温度変化を与えると膨張率の変化でCCDそのものが割れてしまう可能性もあり、取り扱いには注意を要する。
なお、CCDの転送方式としては、フルフレームトランスファCCD型、もしくはフレームトランスファ型である。
CCD
量子効率(Q.E) 100個のフォトン(光子)が飛び込んで来たときに、いくつがCCDで捉えることができるかを示したものと考えるのが一番わかりやすい。
通常のFFT型CCDでだいたい30−40%、KodakのEチップやTIのチップでは最大量子効率70%近くを達成している。
つまり、100ヶの光の粒がとんできたら、そのうちの70個をキャッチして画像にできるわけだ。
そのため、CCDカメラで感度について考える際の指標となっているのが、この量子効率である。
この量子効率の比がまんま感度差になると考えても概ね差し支えない。
実際には感度について考える場合は、画素サイズについても考慮する必要もあるが、これに関しては、解像力(分解能)とトレードオフであるため、観賞用天体写真では感度について考える際は、あまり考慮しない。画素サイズはむしろ、組み合わせる光学系に関してのみ考慮される。

もうひとつ、美しい天体写真を作る上で考慮しなくてはならないのが、ノイズである。
SONYのインターライン型CCDでは最大量子効率は50−60%程度に達し、ローノイズであることと相まって、トータルで感度は高い。
ただし、Q.Eが高ければ、1枚あたりに与える連続露出時間が短くて済む。
その分、コンポジットの枚数を増やすという方向性で撮影をすべきと思う。

天文台などで使用される背面照射タイプのCCDでは量子効率は90%近いものとなっている。
Kodak社の最新のマイクロレンズを搭載したBulePlusCCD(MEチップ)は表面照射型ながら最大量子効率は85%にも達する。
100ヶの光の粒のうち、85個までをキャッチしてしまうわけで、そろそろ感度に関しては頭打ちの感がある。
なお銀塩フィルムでは量子効率は1%以下といわれている。
それでも美しい天体写真ができるのは、CCDなどとは違ってフィルム自身はノイズを持たないからだ。

CCD

戻る